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[リンク記事]西側はグローバルサウス全体を破綻国家に変えようとしている
category: - | author: conflictive.info
[リンク記事]

(参考)

ダン・グレーズブルック
NATOによるリビア戦争はアフリカの発展に対する攻撃である2011年9月6日

民営化と爆撃――同じコインの両面

この戦争は ISIS を標的したものではない、アサドを狙ったものである2014年10月3日

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西側はグローバルサウス全体を破綻国家に変えようとしている
The West Aims to Turn the Entire Global South into a Failed State
ダン・グレーズブルック 2011年12月8日

2008年に始まった経済恐慌について、西側メディアはそれが完全に予測不可能であったといっている。しかし、それはまったくそのようなものではなかった。拡張と崩壊という資本主義の循環は、数百年間以上しばしば繰り返されており、その存在は主流の経済学――そこでは慎重に「ビジネスサイクル」と呼ばれているが――を含むどのような経済思想の潮流にも受け入れられている。この仕組みを知らない人々から利益を得る人々――億万長者やメディアや政府などの手下――だけがそのことを否定しようとするのである。

不況は「供給が需要を上回る」ときに起こる。すなわち、生産されたものすべてを人々が買う余裕がないときに起こる。このことは生産手段が私有されている資本主義社会では不可避である。全体としてグローバルな労働者階級は、かれらが集団で生産したものすべてを購入できるほど決して支払われていないのである。結果として、売れない商品は積み上げられ、生産施設――工場やその他――は閉鎖される。人々は仕事から放り出され、収入は減り、問題は悪化する。これがまさに今日私たちが経験していることなのである。

このような状況下で、利益の上がる投資先は枯渇している――資本家が安全な投資先をどこにも見いだせないのである。これこそが資本家にとっての危機なのであり、失業、飢餓、貧困ではないのだ(これらはグローバル資本主義経済の全体的な特徴である。「景気のいい時期」にはいくらか規模は小さくなるとしても)。メディアの所有や通貨の操作、経済の操縦によってかれらのコントロール下にある政府は、儲かる新たな投資先を生み出すよう取り組まなければならないのである。

その一つが公共サービスの削減であり、それによって民間企業の投資先をつくりだす。1980年代、マーガレット・サッチャーは、鉄鋼、ガス、電気、水道その他多くのものを民営化した。短期的にはこのことは、工場や鉱山の閉鎖によって何百万の人々を失業させ、長期的には基本的な公共サービスの莫大な値上げに結果した。しかしこれには意図された目的があった。儲かる投資先が希少なときにそれをつくりだし、長期的な利益の源泉を生み出すのである。例えば今夏、以前は公営であったガス会社セントリアが料金を18パーセント値上げし、13億ポンドもの利益を得た。結果としてこの値上げは通常より数千人も多くの年金生活者の死をもたらすであろう。しかしガスとは――資本主義社会におけるすべての商品と同じように――熱を供給するためではなく資本を拡大するために存在しているのである。

グローバルサウスでは、民営化はさらに厳しかった。IMFや世界銀行のような組織は、貸付‐強請(ゆすり)のシステム(そこでは支払えないほどの借金に対する利子は高騰していたが、そもそもその借金がその国の人々に役に立ったことはほとんどなく、西側諸国によって据えられた腐敗した政治家によってしばしば持ち出されていた)による影響力を利用し、アジア、アフリカ、ラテンアメリカの国々の政府による医療、教育、農業への補助支出を削減させていた。このことは乳児死亡率や予防可能な病気による死亡率の驚くほどの高さや、アフリカで猛威を振るうエイズの伝染をもたらした。しかし、それらグローバルサウスに強制された政策の目的は達成された。新しい市場がつくりだされ、巨大資本家は、国家からもはや手に入れられなくなったサービスを提供しようとする民間企業に投資できるようになったのである。利潤を生み出すシステムは新しい生命を与えられ、崩壊は再び食い止められた。

例えば世界銀行によって進められたインド政府の穀物供給サービスの終了は、すべてのインド国民に対する安価な穀物供給の仕組みが終了したことを意味し、そして民間企業が登場し大幅な値上げ(とき10倍以上)で穀物を売ることを可能にした。一方大規模な数のインド人が市場で穀物を購入することができなくなり、2億もの人々が飢餓に直面するようになった。そして最も重要な点は、世界の穀物供給を握る巨大民間企業が記録的な利益を得たということである。

しかしこの1980年代以降の国際的な民営化はまったく網羅的なものであったため、2008年に経済危機が起こった際には、国家には民営化できる機能がほとんど残されていなかった。利益の出そうなものはすでに利用されつくしており、投資機会の創出は30年前よりはるかにずる賢くなっているのである。

ヨーロッパでは、右翼の政治指導者は喜んで民営化をおこない、残された公共サービスが早々と解体されている。抵抗する国は投機家によって攻撃されている。例えばデヴィッド・キャメロンは、過去数十年グローバルサウスが直面した道にならって、イギリスの国民健康保険を民間企業に開放することに懸命になっており、高齢者や失業者のような弱者への公共サービスを大幅に削減しているのである。

しかしグローバルサウスでは、西側が民営化できるようなものはほとんど残されていない。IMFがとうの昔にそれらの国の公共サービスを徹底的に剝ぎ取っていたのである。

ところが、民営化が世界中で広がったとしても、まだ国家には医療や教育のような生活に必要不可欠なものから利益を生み出すであろう分野がある。それは最も基本的で本質的な国家機能であり、国家の存在理由といえるものである。それが安全保障である。

民間警備会社は、失業と貧困の拡大が社会に不安と混沌を増加させ、富裕層が自分自身と財産を防衛するのに神経質になっている世界不況のなかでの数少ない成長分野である。さらに、中国経済が猛スピードで成長しているなか、西側にとっては軍事的優位性だけが「比較優位」を持つ分野であり、ライバルを顕著に引き離しているものなのだ。それゆえこの優位性を投資と利益の機会へ大規模に転換させることが、西側経済の支配層にとって主要な仕事の一つとなっているのである。

最近のガーディアンの記事はいう。イギリスの民間警備会社であるグループ4は「ヨーロッパで最大の民間雇用主」であり、イギリス軍とフランス軍を合わせた数の半数以上となる60万人を雇用している。「すでに北アフリカと中東の社会的混乱から利益を得て」おり、昨年その「新規市場」の分野で9パーセント成長している。リビアにおいてグループ4は、NATOがその国の軍隊と国家機構全体を破壊した結果現れたセキュリティの完全な崩壊のなかで大儲けをたくらんでいる。法の支配は相争う反乱ギャングの戦闘に取って代わり、予測できる未来に警察が機能する現実的な見込みはなく、富と権力を手に入れることができるリビア人は、これからの多くの年月を民間警備会社に依存しなければならないのである。

イギリスの新しい防衛大臣であり、彼自身が億万長者のビジネスマンであるフィリップ・ハモンドは、イギリス企業に「荷物をまとめてリビアに向かう」よう言った。彼の考えには石油企業や建設企業だけでなく民間警備会社も含んでいたのである。

民間軍事企業もまた大規模なビジネスになりつつある。最も有名なのは、その名称が自らのイラクでの虐殺と同義語となった後に Xe Services と名前を変えたアメリカ企業ブラックウォーター社である。アメリカにおいてブラックウォーターは、すでに国家の多くの治安機能を乗っ取っている。例えば、ハリケーン・カトリーナに襲われたニューオリンズでは1日1人あたり1000ドルもの金額を国土安全保障省に請求していた。「一晩で荷物が送れるというときに、あなたは郵便局を使うか? それともFedExを使うか?」とブラックウォーターの創設者であるエリック・プリンスはいう。「私たちの企業目標は、FedExが郵便サービスに対しておこなったことを国家の安全保障機能に対しておこなうことである」。別のブラックウォーター関係者は言う。「私たちのうち誰であれ破壊がビジネスチャンスになるという考えを好んでいない。それは不愉快な事実に違いない。しかし、それはそういうものなのだ。医者、弁護士、葬儀屋、そして新聞さえも悪い出来事から稼いでいる。私たちもそれは同じで、誰かがそれをしなければならないのだ」。

世界で最強の政府がビジネス機会の創出のためにできることはすべてをしなければならないと考える経済状況において危険はやってくる。冷戦中、米軍は貧困に真剣に取り組もうとする政府を攻撃し、そして労働組合を弾圧し人々に恐怖を与える政府を強制することによってグローバルサウスを貧困下に置いた(現在もそうしている)。そして世界の労働力の大多数を、わずかな金額でも必死に働こうとする状況に留め置いて投資機会を生み出したのである。しかしいまではこれでも十分ではない。恐慌状態においては、商品を購入する人がいなければ、どれだけ労働力が安くても意味がない。今日必須のビジネス機会――自らの軍事専門知識のための大規模世界市場――を創出するためには、西側政府は貧困だけでなく破綻を強制しなければならないのである。破綻とは、他のすべてが干上がっているときに、西側の軍事能力を大規模で新しい投資先を生み出す本物のビジネスチャンスに変える一番の早道なのである。これこそまさに現在起きていることである。デヴィッド・キャメロンは一度だけ真実を語った。「私たちの国の企業が仕事をするのに手助けとなることがどのようなものであれ――私たちはそれをする」。

最近タイムス紙は「イラクの戦後ビジネスで急成長しているは石油ではなく治安警備である」と述べている。イラクでもアフガニスタンでも慢性的で打ち続く社会的混乱と内戦はまったく同じ方法によって生み出された。まず、それまでの国家権力が完全に破壊される。次に、国家能力を再建するために国内の専門家を利用する可能性が、以前の役人を新政府から排除することによって潰される(イラクでは脱バース党化として知られるプロセスである)。これと関わって、前政権党はどのような政治過程からも排除され、大規模で最も組織化された政治組織は影響力を行使するために暴力に訴えざるをえなくなり国を内戦状態に陥らせる。次に、宗教的、民族的、部族的にどのようなものであれ邪悪なセクト主義が活発化する。それはしばしば西側情報機関の非公然活動が扇動している。最後に、包括的な民営化が壊滅的なレベルの失業と不平等を固定化する。このプロセス全体は自己永続的なものである。労働力のうち労働手段とコネを持った熟練・専門家層は国外へ移住し、国内では悲惨な技術不足を引き起こし社会が混沌から抜け出すチャンスを狭めていくのである。

こういった不安定化は破壊された国家の境界内に限られたものではない。例えば、巧みで皮肉なドミノ効果としてイラク侵攻はシリアの不安定化にも寄与した。自国での戦争を逃れた200万のイラクの避難民のうち4分の3がシリアに流れついた。このことはシリア経済を圧迫し、現在の紛争の大きな要因となったのである。

リビアの破壊は、地域全体に広範囲な悪影響をもたらすであろう。国連リビア支援団は述べる。「リビアは非生産国のなかでは知られる限り最大の地対空ミサイルを持っている。7カ月にわたるNATOの軍事作戦によって数千台は破壊されたが、弾薬や地雷とともにこれら携行型防衛システムの略奪や拡散に関する懸念は増加しており、国内や地域全体における潜在的はリスクとなっている」。さらに、不安定なアフリカ諸国の多くが、リビアが主要な役割を果たしていた平和維持軍に守られたもろい平和を維持している。これらの兵士の撤退はその平和の維持を損なうものである。同様に、カダフィ統治下のリビアは、気前よくアフリカの開発計画に投資していた。そういった政策も国民評議会によって終わらされるだろう。ここでも悪影響は避けられない。

破壊と不安定化の政策は、民間警備保障だけでなく、同じく米英仏が主導的地位にある武器取引の市場を広げることは明白である。そして電撃戦を通じた破壊政策は、西側政策立案者が現在持つ長期的な戦略上の大きな三つの目的と適合するものである。

1. 希少化する天然資源(最も重要なのは石油・水・ガス)を可能な限り囲い込む。破壊された国家は契約上、占領をおこなう国家のなすがままになる。例えばカダフィは、石油をめぐる西側との困難な交渉を支配したことで悪名が高く、1973年の石油価格高騰において中心的な役割を果たした。2009年になっても、カダフィはフィナンシャル・タイムズに「資源ナショナリズム」のかどで非難されていたのである。しかしリビアの国民評議会は外国の利益に従順であることによって選ばれたのであり、かれらの地位はこの役割を継続する意思に依存しているのである。

2.主には独立した地域の勢力(イラン・リビア・シリア等)の破壊を通じて、そして力をのばすグローバルな勢力(特に中国とロシア)の孤立化や包囲を通じてグローバルサウスの発展を阻止する。

3.軍事力の優位性を利用し、インフラの破壊と再建、競争の排除を通じて、経済破綻の影響を克服あるいは限定する。

完全な破壊というこの政策は、冷戦期の西側大国の政策ではなかった。冷戦期には、主要な戦略目標は変わらないものの、やり方が違った。当時もグローバルサウスの地域勢力は不安定化され侵略された。しかし通常は「従順な独裁者」を据え付けるという目的があったのである。だから、ルムンバは打倒されモブツに、スカルノがスハルトに、アジェンデがピノチェトに置き換えられたのである。しかしこの「独裁者の強制」という政策の問題点はその独裁者が反抗的になりうることである。サダム・フセインがまさにそうであった。10年以上西側に支援を受けた後、その傀儡であるクウェートを敵にまわしたのである。コントロールを受ける諸政府は簡単にコントロールを抜け出す。しかし、それら独裁者たちが、その軍隊に仕事をさせる限り(投資の保護、労働者闘争の弾圧など)、西側は独裁者を支援したのである。

コンゴがまさにそれにあてはまる。30年もの間、西側諸国はコンゴにおけるモブツ・セセ・セコの強権支配を支援していた。しかしその後、90年代中盤には、彼が打倒されることを許した。しかし西側諸国は、コンゴの反政府勢力が権力を担い、まともな政府を設立しようとすることを許すのではなく、ウガンダ、ルワンダ、ブルンジがコンゴを侵略することを支援したのである。これらの国々は現在大幅に兵力を引き上げているものの、代理となる民間兵の支援は継続しており、そのことが15年間もの間コンゴを一瞬の平和からも遠ざけ、500万以上の人々の死という第二次大戦後最大の大虐殺を引き起こした。政府の完全な崩壊がもたらした一つの結果は、コンゴの天然資源を略奪する西側企業が事実上それを無料でできるようになったということである。多くの貴重な天然資源を持ち、特にコルタンと銅の世界最大の供給国であるにもかかわらず、2006−7年におけるこれら生産物に関わる税収入は、たった3200万ポンド[約70億円]に過ぎなかった。これは最も役立たずな新植民地主義的傀儡がかつて要求したものよりもはるかに少ない金額であることは確かである。

このことは「政府」という言葉の意味を完全に変えた。コンゴでは、国を安定させ発展させようという政府のできる限りの努力は、西側とその手先による不安定化戦略に及びもつかない。アフガニスタンでは、政府の権限はもしあるにしてもカブールの外部にはまったく及んでいないことはよく知られている。しかし、そのことに意味があるのだ。アフガニスタン、イラク、リビアに押しつけられ、シリアに押しつけられようとしている政府の役割は、人々を統治したり、治安のような最も基本的な機能をもたらすものではないのである。それは単純にその国家の占領に正当性をもたせるためのいちじくの葉なのであり、植民者にビジネス契約をもたらすためのものに過ぎないのである。

いうまでもなく、大規模破壊というこの政策は、犠牲となる国々を生き地獄へと変える。30年以上にもおよぶ西側による不安定化と10年におよぶ占領の後に、アフガニスタンは手に入るどのような人間開発指数においても最下位かその近くにいる。平均寿命は44歳で、4人に1人以上が5歳までに死んでいる。最近歴史を通じて最悪の虐殺を研究したマシュー・ホワイト[著書に『殺戮の世界史』]は、はっきりと結論づけた――「専制政治より混沌の方がはるかに悲惨である」。多くのイラク人が、これが真実であることを証言するだろう。


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